巻首-1 (是れは、信長御入洛無き以前の双紙なり)
● 尾張国かみ下わかちの事
…織田伊勢守…岩倉と云ふ処に居城なり。
…上下、川を隔て、清洲の城に武衛様を置き…
弾正忠と申すは、尾張国勝幡と云ふ所に居城なり。
…那古野へこさせられ、…嫡男吉法師殿に、…
那古野の城を吉法師殿へ御譲り候て、熱田の並び古渡と云う所に
新城を拵へ、備後守御居城なり。…
● あづき坂合戦の事
…駿河衆、三川の国正田原へ取り出て、…あん城と云ふ城、
織田備後守かかへられ候ひき。…あづき坂へ人数を出だし候。…
● 吉法師殿御元服の事
吉法師殿十三の御歳、…古渡の御城にて御元服。織田三郎信長と
進められ、…
● 美濃国へ乱入し五千討死の事
…九月廿二日、斎藤山城道三が居城稲葉山の山下村々に…
● 大柿の城へ後巻の事
霜月上旬、大柿の城近く…
霜月十七日、織田備後守殿後巻として…
美濃国へ御乱入、竹が鼻放火候て…
道三仰天致し、虎口を甘げ、井の口居城へ引き入るなり。…
● 上総介殿形儀の事
…平手中務才覚にて、織田三郎信長を斎藤山城道三婿に取り結び
道三が息女尾州へ呼び取り候ひき。然る間、何方も静謐なり。信長
十六、七、八までは、別のお遊びは御座なし。馬を朝夕御稽古、又、
三月より九月までは川に入り、水練の御達者なり。その折節、竹鎗
にて扣き合いを御覧し、兎角、鎗はみじかく候ては悪しく候はんと
仰せられ候て、三間柄、三間々中柄などにさせられ、其の比の御形
明衣の袖をはずし、半袴、ひうち袋、色々余多付けさせられ、
御髪はちやせんに、くれなゐ糸、もゑぎ糸にて巻き立て、ゆわせ
られ、大刀、朱ざやをささせられ、悉く朱武者に仰せ付けられ、市川
大介めしよせられ、御弓御稽古、橋本一巴を師匠として鉄砲炮御
稽古。平田三位不断召し寄せられ、兵法御稽古。御鷹野等なり。
爰に見悪事あり。町を御通りの時、人目をも御憚りなく、くり、柿
は申すに及ばず、瓜をかぶりくひになされ、町中にて、立ちながら
餅をほうばり、人により懸かり、人の肩につらさがりてより外は、
御ありきなく候。其の比は、世間公道なる折節にて候間、大うつけ気
とより外に申さず候。
● 犬山謀反企てらるゝの事
…上の郡、犬山、楽田より人数を出し、かすが井原をかけ通り…
即時に末盛より、備後殿御人数かけ付け、取り合い、一戦に及び、
きりくずし、…
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